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染織史家 吉岡幸雄
ドキュメンタリー「紫」

植物だけの色。途絶えかけた日本の心。

吉岡幸雄(よしおか さちお)氏 略歴
染織史家・「染司よしおか」主宰

◆1946年(昭和21年) 京都市に生まれる。 生家は江戸時代から京都で四代続く染屋である。
父常雄は後に大阪芸術大学教授として教壇に立つとともに、世界の染色研究に没頭し、とくに貝紫の研究の第一人者であった。
◆1971年 早稲田大学第一文学部卒業。

◆1973年 美術図書出版「紫紅社」を設立。
美術図書の編集と美術工芸の歴史を研学する。『根来』、『琳派』(全5巻)、『伊藤若冲』など多数の美術工芸図書を出版。『染織の美』(全30巻)、『日本のデザイン』(全16巻) の編集長を務める。美術展覧会「日本の色」、「桜」(東京・銀座松屋) などを企画、監修する。
広告のアートディレクターも務め、コマーシャルフィルム、電通カレンダーの制作などに携わる。
◆1988年 生家「染司よしおか」五代目当主を継ぐ。
染師福田伝士氏と二人三脚で日本の伝統色の再現に取り組む。
「染司よしおか」は花樹草に宿る色を汲み出して糸や布を染める植物染や、貝による紫染である帝王紫の染色を専らとしている。
毎年、東大寺お水取り(修二会)の椿の造り花の紅花染和紙、薬師寺花会式の造り花の紫根染和紙、石清水八幡宮放生会の「花神撰」を、植物染で奉納。ほかに春日大社、伊勢神宮、宝塚清澄荒神など古社寺の伝統的な仕事にも多く従事している。
◆1991年 奈良薬師寺三蔵院に掲げる幡5旗を多色夾纈によって制作。(きもの文化賞受賞)
◆1992年 奈良薬師寺「玄奘三蔵会大祭」での伎楽装束45領を制作。
◆1993年 奈良東大寺、伎楽装束40領を制作。天平の彩りと文様をすべて植物染料による染織の古法にのっとって再現する。

◆2000年 日本の伝統色466色を植物染料で再現した『日本の色辞典』を紫紅社より刊行。
◆2001年 中国敦煌の発掘の唐時代の幡4旗を復元。 ドイツ・バイエルン州ミュンヘン市共立手工芸ギャラリーにて「染司よしおか展」開催。 法隆寺聖徳太子1380年忌にあたり、法隆寺伝来「獅子狩文錦」を吉田頼修氏らの協力を得て、空引機を制作し、往時の色と文様を復元。
◆2002年 正倉院に収蔵される「鹿草木夾纈屏風」を古法にのっとり復元。幡12旗(杉本建吉画)を制作。 開眼の縷を制作。東大寺管長の紫根染による紫衣ならびに糞掃衣を復元し、10月15日、橋本管長が着衣して大要にのぞまれた。伎楽の装束20領を植物染料により制作。
◆2004年 尾形光琳画 国宝「紅白梅図屏風」の流水を藍で再現する。 4月、兵庫県福崎町・蓮華寺の幡28旗、袈裟、打敷などを植物染で制作。 シャネルの化粧品ディレクター、ドミニク・モンクルトワ氏が吉岡の紅花、蘇芳の「赤」に注目し、口紅の製品を開発し発売となる。
◆2006年 イギリスのシティー・オブ・ロンドンフェスティバルにて St Bride's Church で日本の色・伝統の美を基調にした作品を出展。
◆2007年 イギリス大英博物館 (British Museum) にて JAPANESE TEXTILE について講演。 イギリスロンドン日本大使館にて「源氏物語の色」について鼎談。
◆2008年 4月、アメリカで日本の染織について講演。 「源氏物語千年紀」にあたって、源氏物語の色五十四帖を再現。 成田国際空港第二ターミナル到着ロビーのアートディレクターをつとめる。 (グッドデザイン賞受賞)
◆2009年 京都府文化賞功労賞受賞 9月、オーストラリアのシドニーで開催された『2009年色彩国際会議』にてゲストスピーカーとして講演 (11th Congress of the International Colour Association 2009)。
◆2010年 10月 第58回 菊池寛賞受賞

福田伝士

染司よしおか